住宅改修プロ実務ノート
手すりの取り付け例と、必要な部材の数え方
手すり1本を構成する部材
| 部材 | 選び方の目安 |
|---|---|
| 手すり棒 | 直径32〜36mm。屋内は木製、水がかかる場所は樹脂被覆やステンレス芯。定尺は2000mmと4000mm |
| 直付けブラケット | 中間の支持。壁から手すり芯まで50〜60mm離れる寸法のもの |
| エンドブラケット | 端を壁側に納める。袖口の引っ掛かりを防ぐための部材 |
| コーナーブラケット | 出隅・入隅で手すりを途切れさせずに繋ぐ |
| ジョイントブラケット | 定尺を超える距離で棒を継ぎ足す |
| 下地補強板・ビス | 下地が無い・位置が合わないときに補強板を入れる |
高さと位置の決め方は手すりの取り付け位置の決め方にあります。この記事はその次の工程、決まった位置に対して何をいくつ拾うかの話です。
ブラケットの個数は計算で出る
個数は感覚で置かず、「端から100mm以内」「間隔900mm以内」の2つから逆算します。
| 長さ | 個数 | 内訳 |
|---|---|---|
| 600mm(縦手すり) | 2個 | 端部2個のみ |
| 900mm | 2個 | 端部2個のみ |
| 1200mm | 3個 | 端部2個 + 中間1個 |
| 1800mm | 3個 | 端部2個 + 中間1個 |
| 2000mm | 3個 | 端部2個 + 中間1個(ちょうど900mm) |
| 2700mm | 4個 | 端部2個 + 中間2個 |
| 3600mm | 5個 | 端部2個 + 中間3個 |
| 4000mm | 6個 | 端部2個 + 中間4個 |
ただし、この計算値の位置に下地があるとは限りません。木造の間柱は455mmピッチなので、 計算で出た位置に柱が無ければ、隣の柱までずらします。
取り付け例1 — 玄関の上がり框
| 部材 | 数量 | 根拠・備考 |
|---|---|---|
| 35アッシュ丸棒 2m (BD-212) | 1本 | 2000mmの定尺から600mmを切り出す。残りは他の箇所へ |
| 35Eエンドブラケット (BD-09) | 2個 | 上下の端。長さ600mmなので中間は不要 |
| 下地補強板 t15 | 0〜1枚 | 玄関は柱の位置が読みにくい。下地が無ければ先に入れる(現場調達) |
| 木ネジ 4.1×65 | 1袋 | 50本入。補強板を入れるなら65mm(現場調達) |
この構成の材料費(概算)5,090円税抜・材料のみ(工賃・送料を含まず)
木ネジと下地補強板は現場で調達するため含んでいません。
外のポーチにも段があるなら、屋外用を別に拾います。屋内用の木製を外に出すと数年で表面が割れます。 樹脂被覆かステンレス芯にして、ビスもステンレスに替えます。
取り付け例2 — 居室からトイレまでの廊下
| 部材 | 数量 | 根拠・備考 |
|---|---|---|
| 35アッシュ丸棒 4m (BD-214) | 1本 | 3600mmを4000mmの定尺1本から取る |
| 35ブラケット横型 (BD-03) | 3個 | 3400mmを4分割し、下地の位置に寄せる |
| 35Eエンドブラケット (BD-09) | 2個 | 両端 |
| 35コーナーブラケット (BD-13) | 1個 | 曲がり角(出隅) |
| 35直ジョイント (BD-16) | 0〜1個 | 継ぐ場合のみ。継ぎ目の直近にブラケットを1個足す |
| 木ネジ 4.1×65 | 1〜2袋 | ブラケット1個あたり2〜3本(現場調達) |
この構成の材料費(概算)11,740円税抜・材料のみ(工賃・送料を含まず)
木ネジは現場で調達するため含んでいません。
取り付け例3 — トイレのL型
| 部材 | 数量 | 根拠・備考 |
|---|---|---|
| 35アッシュ丸棒 2m (BD-212) | 1本 | 横600mm + 縦700mm を2000mmの定尺1本から取る |
| 35コーナーブラケット (BD-13) | 1個 | 縦横の接続部。荷重が集まるところ |
| 35Eエンドブラケット (BD-09) | 2個 | 横の前端と、縦の上端 |
| 下地補強板 t15 | 1枚 | 縦横の両方に下地が要るため、面で補強するのが確実(現場調達) |
この構成の材料費(概算)6,490円税抜・材料のみ(工賃・送料を含まず)
木ネジと下地補強板は現場で調達するため含んでいません。
紙巻器や洗浄操作部と干渉しやすい場所です。先に位置を控えておくと手戻りが減ります。
取り付け例4 — 浴室(出入口・洗い場・浴槽)
| 位置 | 手すり | 部材(数量) |
|---|---|---|
| 出入口 | 縦 600mm | 手すり棒(直線タイプ) 4m (BJ-21WD) から切り出し、35Eエンドブラケット (BD-09) 2個 |
| 洗い場 | 横 800mm | 同じ1本から切り出し、エンドブラケット 2個 |
| 浴槽の側壁 | 縦 600mm | 同じ1本から切り出し、エンドブラケット 2個 |
この構成の材料費(概算)16,070円税抜・材料のみ(工賃・送料を含まず)
3本ぶん(600 + 800 + 600 = 2000mm)を4000mmの1本から取る。ビスはステンレス製を現場で用意するため含んでいません。
取り付け例5 — 階段
13段の直階段に、下りで健側になる側へ1本通す例です。勾配部分の斜め長さが約3000mm、 上下端の水平の延長を足して、手すりの全長は3500mm前後になります。
| 部材 | 数量 | 根拠・備考 |
|---|---|---|
| 35アッシュ丸棒 4m (BD-214) | 1本 | 斜め長さは水平距離より長い。実測で拾う |
| 階段用(自在)ブラケット | 3〜4個 | 端部間3300mmを4分割して中間3個。階段の壁は下地と勾配が合わないので1個増えることが多い。下の一覧には無いので都度お問い合わせください |
| 35Eエンドブラケット (BD-09) / 曲がり部材 | 2個 | 上下端。端は壁側または下向きに曲げ込む |
| 水平・勾配の接続部材 | 2個 | 水平に延ばした部分と勾配部の変わり目 |
| 下地補強板 t15 | 1〜2枚 | 間柱の位置と階段の勾配は揃わない。通しで入れると位置の自由が効く(現場調達) |
ビスの長さは、壁の断面から決める
| 拾い忘れやすい項目 | 見落とすとどうなるか |
|---|---|
| 下地補強板 | 現場で下地が無いと分かり、その日に付けられない(付帯工事として計上できる) |
| 既存物の撤去・移設 | タオル掛け・紙巻器・物干しと干渉して位置がずらせない |
| ビスの長さ | 補強板とボードの厚みぶん短くなり、下地への効きが足りない |
| 屋外用の材質 | 1〜2年で表面が割れる。ビスも錆びる |
| 巾木・見切りとの干渉 | ブラケットが座らず、その位置だけ浮く |
| 切断後の端部処理 | 切りっぱなしの木口が露出する |
見積は「1か所いくら」ではなく棒の長さ + 部材 + 手間で組むと、箇所が増えても単価が破綻しません。下地補強は付帯工事として分けて書いておくと、 保険者からの照会にもそのまま答えられます。
部材と参考価格の一覧
上の例で挙げた部材の型番と参考価格です。型番はマツ六・TOTOのメーカー品番なので、 そのまま伝えれば話が通じます。ビスと下地補強板は現場の状況で変わるため、この一覧には入れていません。
35アッシュ丸棒 2m Mブラウン
屋内の標準。Φ35 × 2000mm。600〜900mmの短い手すりはここから切り出す
BD-212
3,750円/ 本
35アッシュ丸棒 4m Mブラウン
屋内の標準。Φ35 × 4000mm。廊下など長い手すり用
BD-214
7,500円/ 本
35丸棒手すり 4m ライトブラウン
4mの定番品(5本1箱)。まとめて使うならこちらが安い
35LB4R
6,300円/ 本
手すり棒(直線タイプ) 4m 木目ダーク
屋外・水がかかる場所用。樹脂被覆 × 4000mm
BJ-21WD
12,050円/ 本
35ブラケット横型
直付け。中間の支持に使う
BD-03
500円/ 個
35ブラケット横型カバー付
直付け・ビス頭を隠すカバー付き
BD-01
620円/ 個
35Eエンドブラケット
端部を壁側に納める。袖口の引っ掛かりを防ぐ
BD-09
670円/ 個
35エンドブラケットカバー付
端部用・カバー付き
BD-08
1,050円/ 個
35コーナーブラケット
出隅・入隅で手すりを途切れさせずに繋ぐ
BD-13
1,400円/ 個
35直ジョイント
定尺を超える距離で棒を継ぎ足す
BD-16
420円/ 個
35エンドキャップ
切り口をふさぐ
BD-11
320円/ 個
35ブラケット縦型カバー付
縦手すり用
BD-05
670円/ 個
木製スペーサー小判座(6mm)
壁の不陸を調整する座金。6mm厚
BH-05
370円/ 個
TOTOインテリア・バー I型 600mm
浴室・トイレ用。樹脂被覆のI型 600mm
TS134GY6S
7,800円/ 本
この構成のまま注文する
記事の取り付け例そのままの組み合わせで、部材一式のお見積りをお出しします。 お問い合わせフォームから、次の3つを書いてお送りください。
- どの取り付け例か(例:「取り付け例3 トイレのL型」)と、必要な箇所の数
- 手すりの長さ・色など、例と変える点があればその内容
- 現場の写真、または壁の下地の状況(分かる範囲で構いません)
内容を確認して、在庫・納期と、部材一式の金額をお返しします。 下地の状況が分からない場合も、写真をいただければ必要な補強材まで含めて拾います。
拾い出しの手順(この順で数える)
- 位置と長さを決める(本人に握ってもらって確定させる)
- 長さから、ブラケットの最低数を計算する(図2)
- 下地の実測位置に合わせて、位置をずらす(図3)
- ずらして間隔が900mmを超えたら、1個足す
- 両端の納まりを決めて、端部の部材を拾う
- 角・継ぎ足しがあれば、コーナー・ジョイントを足す
- 下地が無い箇所に、補強板を拾う(付帯工事)
- 壁の断面からビスの長さを決める(図9)
- 撤去・移設が要る既存物を数える
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